top of page

ARスポーツ中継、PTZカメラ操作を “人の感覚で扱う” 時代へ

ビーチバレー × マルチカムAR × FR-2 導入事例 ─ MIXI

この記事のポイント

  • ビーチバレー中継で「マルチカムAR」× PTZカメラ遠隔操作を実現

  • RCT FR-2 の直感的な操作性が、スポーツ映像制作に新たな選択肢をもたらした

  • 悪天候・少人数・仮設環境という制約の中でも、安定したリモート運用を実現

  • 現場カメラマンの声:「PTZを操作していることを忘れていた」

OP.png
スポーツ中継の現場で、PTZカメラの使い方が変わり始めている

ビーチバレーの特設コート。2026年3月14日(土)・15日(日)に東京・立川のTACHIHI BEACHで開催されたビーチバレー大会「DIG CUP」において、客席も常設スタンドもない砂地の環境で、テントと仮設イントレ(足場)を用いたマルチカムAR配信に取り組んだ制作チームがある。そこで重要な役割を担ったのが、RCT社のPTZカメラ遠隔操作デバイス「FR-2」だ。離れた場所からカメラのパン・チルト・ズームを直感的に操作できるコントローラーとして、現場運用を支えた。


今回、株式会社MIXI のビーチバレー配信プロジェクトに携わった制作チームに、導入前の課題から本番当日の操作感、今後の展開までを聞いた。

Section 01

「マルチカムAR」という挑戦──砂地・悪天候・仮設環境の三重制約

今回の配信で最大のテーマは、現実のコート空間とバーチャルオブジェクトを高度に融合させる「マルチカムAR」の実現だった。複数台のカメラを切り替えながら、ARオブジェクトがコート上に実在しているように見せる演出は、技術的な精度だけでなく、カメラワークそのものの質にも高い水準が求められる。
会場はビーチコートのみ。常設の客席も撮影用スタンドも存在せず、俯瞰画角を確保するために仮設のイントレを組み、砂地には足場用プラスチック板を敷いて対応した。屋外という環境はARシステムにとっても厳しく、CG関連機材は車内に構築することで、砂・風・湿気の影響に備えた。

テント内でのリモート運用について、技術スタッフは次のように語る。


"テント内でのリモート操作でしたので、悪天候の影響を受けずにオペレートできる点が好評でした"
 

これは運用面の快適さだけでなく、AR演出の精度にもつながっていた。イントレ上にはカメラだけを設置し、カメラマンは地上からリモートで操作する。風が吹いても、カメラマンの体重移動による揺れが加わりにくいため、ARオブジェクトを現実空間に重ねるうえで重要となるカメラ位置の安定性を保ちやすい。遠隔操作という方式は、悪天候への対応だけでなく、AR品質の安定化にも寄与していた。

カメラ構成は、コート横からの俯瞰PTZ(FR-1操作)、縦方向のPTZ(FR-2操作)、有人カメラ2台、ネット際の小型カメラで構成された。PTZカメラがマルチカムARの中心を担い、有人カメラがアップや表情、迫力を補完するという明確な分業体制が組まれていた。

MIXI事例_テント.jpeg

Section 02

スポーツ中継で見えた、従来のPTZ操作環境の課題

チームにとって、PTZカメラの遠隔操作そのものは初めてではなかった。ただし、今回のようにスポーツ中継とAR演出を組み合わせる現場では、より繊細で直感的なカメラワークが求められたという。

制作チームは次のように振り返る。


"当初はジョイスティック型のリモートコントローラーでカメラ操作を行っていたため、カメラワークに制約があり、スポーツのスピードに十分に追従しきれないという課題がありました"

AR演出では、カメラワークの精度がそのまま映像表現の質に直結する。カメラの追従が不十分であれば、ARオブジェクトとの整合や演出の説得力にも影響が出る。チームとしても、従来の操作環境では、今回求められる表現に対して改善の余地があると感じていた。
その印象を大きく変えたのが、FR-2の操作感だった。

"当初FR-2を試した際、従来のリモート操作と比べて、より実際のカメラ操作に近い感覚で追従できることが分かりました。最初に操作した際は、その操作性の高さに強い驚きを感じました"

単に遠隔操作ができるというだけではなく、実際にカメラをパンバーで操作しているかのような感覚で扱えること。そこが、今回FR-2を採用する大きな決め手になった。

MIXI事例_FR-2_2.jpeg

Section 03

「PTZを操作していることを忘れていた」

本番前には、コートで3回のテスト撮影を実施した。印象的だったのは、カメラマンへの事前説明がほとんど不要だったという点だ。

使い始めの印象について、現場スタッフは次のように話す。


"本体の各種設定は私が行いましたが、カメラマンは特別な説明がなくても操作が可能でした。従来のカメラワークに近い感覚で扱うことができました"

テスト段階でスタッフから飛び出したコメントが、FR-2の本質をよく表していた。

"FR-2がなければこの撮影案件は受けていなかった"

これは単なる賞賛ではない。通常、PTZリモコンの操作には「機械を動かしている感覚」が伴う。それが意識から薄れるということは、操作者がカメラワークそのものに集中できているということでもある。スポーツ映像の現場において、この差は大きい。

また別の現場スタッフからは、操作の具体的な評価も寄せられた。

"斜め方向の操作がとてもスムーズでした。これまで使用していた操作環境と比べても格段にやりやすく、自分のポジションをボタン操作1つで簡単にリセットできたのも良かったです"

さらに現場からは、FR-2をより深く使いこなしたいという声も多く挙がった。パンバーの振り幅調整やカメラポジションの呼び出しなど、既存の設定や機能も含めて活用の余地があり、現場に応じた運用の幅がさらに広がる可能性も感じられた。そうした手応えとあわせて、現場からは今後のさらなる改善や機能拡張への期待の声も寄せられた。

バルーン.png

Section 04

ボールの軌跡、選手写真へのズームアップ──高度なAR演出を可能にした

FR-2の導入によって、これまで以上に表現の幅が広がった。
今回の中継では、AI技術によってボールをリアルタイム追跡し、ARオブジェクトとボールが重なった場面でも前後関係(オクルージョン)を正確に表示する仕組みを実現した。リプレイ時にはボールの軌跡を表示し、イン・アウトの判定を視覚的に伝える演出も行われた。これは関係者からも高く評価されたという。


"やはりボールの軌跡がとても効果的だなと感じました"

さらに、ARオブジェクトとして表示した選手写真やボールのマスコットへ、違和感のないスピードで自然にズームアップしていく演出も実現できた。こうした演出は、カメラワークの再現性や操作の滑らかさがあってこそ成立する。

"FR-2がなければこのような撮影は不可能であり、高度なAR演出も実現することはできませんでした"

少人数運用の面でも、FR-2は効果を発揮した。VE(ビデオエンジニア)が不在の環境においても、FR-2からホワイトバランス・アイリス・NDなどのカメラ設定を操作できたという。

"スタッフが少人数の場合でも設定を手元で完結できる点は、運用面において大きなメリットだと感じています"

軌跡2.png

Section 05

今後の展開──少人数運用を支える、新たな選択肢に

今回の経験を通じて、制作チームはPTZカメラとFR-2の組み合わせに、今後さらに展開できる可能性を感じたという。
AR演出との相性のよさはそのひとつだ。ARオブジェクトのサイズに合わせた画角をあらかじめ用意しておき、演出のタイミングに応じて素早く切り替えながら、そのままカメラワークへ移行できる。この一連の流れは、今回の現場でも有効性が感じられたポイントだった。


"複数台のカメラをFR-2 1台で制御できる点も大きな魅力です。カメラマン1人で複数のカメラを扱えることは、小規模なイベントにおいて制作費に制限がある場合に、大きなメリットとなります"

特に、スタッフ数や設営条件に制約がある現場では、こうした構成が運用の選択肢を広げる可能性がある。今後は、インタビュー用カメラや放送席用カメラなども含め、より柔軟で効率的なPTZ運用を検討していきたい考えだ。

"同様の案件があった場合にも、PTZカメラ+リモート操作の構成を引き続き採用していきたいと考えています"

取材を終えて

「途中でPTZカメラを操作していることを忘れていた」──このコメントは、今回の取材を象徴する言葉だった。
スポーツ映像の現場では、機材の存在感が前面に出るのではなく、オペレーターの意図に自然に追従できることが重要になる。FR-2は、PTZカメラ運用において、その理想に一歩近づく手応えを示した。
ビーチバレーの砂地という厳しい環境で得られた今回の知見は、今後のスポーツ中継やAR演出におけるPTZ活用の可能性を広げるものといえそうだ。

RCT FR-1 / FR-2 製品情報
FR-2_edited.jpg

製品の概要や関連情報は製品紹介ページをご覧ください
資料のダウンロードはこちら

【本件に関するお問い合わせ先】

正規代理店: アーザス株式会社

赤坂オフィス:〒107-0051 東京都港区元赤坂1-7-10 グランドメゾン元赤坂902

Tel:050-1722-9026

E-mail:sales@arethus.com

アーザス株式会社は、業務用映像機器および関連ソリューションの販売、技術支援、コンサルティングを通じて、お客様の運用課題に応じた提案を行っています。
 

bottom of page